
世界へと羽ばたく足がかりとなるホットなニュースを手土産に、ダンロップフェニックスに出場するのが大西魁斗選手です。
11月7日に終了した米国PGAツアーの下部ツアー「コーンフェリーツアー」の来季出場権を争うQT(クォリファイイングトーナメント)に挑み、12位タイとなったばかり。来年1月の開幕から8試合の出場権を手にしています。そこで結果が出れば、その後の試合にも出場でき、その先にはPGAツアー昇格の道も開ける第一歩を踏み出したと言っていいでしょう。
2021年にプロとなった大西選手は、今年9月のフジサンケイクラシックで日本ツアー初優勝。3打差3位タイで最終日を迎え、14番からの3連続バーディで猛追。パク・サンヒョンとのプレーオフに持ち込みました。1ホール目でバーディを奪って歓喜の初優勝。「一人でアメリカに行って、悲しい思いや苦しい思いをしましたけど、きょう勝てて努力が報われた思いです」と、うれし涙を流したシーンは印象的でした。ツアーの将来を担う若手の一角を確実に占めています。
このコメントでもわかるように、1998年生まれの大西選手は、5歳でゴルフを始めると、9歳で渡米します。NHK英会話の先生でもある父の方針でただ一人、太平洋を渡ったのです。まだ幼く、甘えたい年頃でのこと。心細い思いもたくさんしたことでしょう。そこで、大きな出会いがありました。丸山茂樹選手と縁を得て、米ツアー3勝を挙げた武器でもあるアプローチをじっくり仕込んでもらう機会に恵まれたのです。
やがて、ジュニア育成には定評のあるフロリダ州のIMGアカデミーに入学。5年間、ここで腕を磨きました。日米両国のジュニアゴルフを経験したことも大きかったはずです。
南カリフォルニア大学に進学後は、NCAAでコリン・モリカワやマシュー・ウルフらと腕を競います。ゴルフだけでなく、勉強もしっかりしないと試合に出られない環境の中で大きく成長し、オールアメリカンのメンバーにも選ばれたほどです。無事、卒業して、2021年にプロ転向。最初のステップとして日本ツアーを選択しました。そして迎えた2年目、フジサンケイクラシックで勝った時には「PGAに行って世界一を目指す」と宣言しています。
来年1月に始まるコーンフェリーツアーへの参戦を前に、ダンロップフェニックスで結果を出して、弾みをつけたいところです。世界に羽ばたく直前の大西選手を早めに見ておくのも、ファンには興味深いはずです。