
優勝すれば大会最多タイ…。そんな大きな記録がかかっているのが、ブルックス・ケプカ選手(米)です。
2016年、ダンロップフェニックスに初出場した時には、まだPGAツアー1勝で世界ランキングも21位の26歳でしたが、積極的なプレーでスコアを伸ばして他の選手たちを圧倒。大会最多アンダーパーの記録を塗り替える通算21アンダーで優勝し、ファンを驚かせました。
これは飛躍への足掛かりに過ぎませんでした。翌2017年には、ウィスコンシン州のエリンヒルズで行われた全米オープンでメジャー初優勝。日本の松山英樹選手らに2打差をつけて初めてのメジャータイトルを手にしました。
11月には、メジャー王者として再び宮崎の地にやってきます。連覇のかかる大会は、他の選手がスコアを伸ばせず足踏みする中、ただひとりスコアを伸ばして、前年自らが打ち立てた記録にあと1打と迫る通算20アンダー。2位の選手たちに9打の大差をつける勝利は、これまた大会新記録。ケプカ選手だけが“別世界”のプレーをしていたことがよくわかります。
その後も勢いは止まりません。翌2018年には、全米オープンで連覇を果たすと、全米プロでも、実力者タイガー・ウッズ選手(米)を向こうに回して優勝。27歳で世界ランキングNo.1の座に早くも躍り出たのです。
今年が50回目の開催となるダンロップフェニックスですが、過去に3勝した選手は尾崎将司選手(1994,1995,1996年)一人しかいません。
これに続く2勝には、セベ・バレステロス選手(スペイン)やトム・ワトソン選手(米)タイガー・ウッズ選手(米)などそうそうたる名前が8人並んでいます。ケプカ選手もその1人ですが、これだけの選手たちも3勝には手が届いていません。
2023年は、ジョン・ラーム(スペイン)が優勝したマスターズでも2位に入り、初めてグリーンジャケットに袖を通す日も近いことを感じさせました。
全米プロでは2018,2019年に続く3勝目を挙げて、好調なシーズンを送ったケプカ選手。戦いの舞台はPGAツアーから新興のLIVゴルフに移りましたが、ここでも2勝してポイントランキング3位に位置しています。
フロリダ州ウエストパームビーチ出身で、フロリダ大学在学中にもカレッジゴルフで腕を磨いたケプカ選手は、2012年夏にプロ転向。その第一歩は、欧州(現DPワールド)のチャレンジツアーでした。
ここから欧州レギュラー(現DPワールド)ツアー、PGAツアーとステップアップして、世界のゴルフ界を牽引する存在となったケプカ選手。その過程に、ダンロップフェニックスでの連覇があったことはまちがいありません。
尾崎選手に続く大会3勝目がかかる今年の大会は、5年ぶり4回目の出場となります。新たな記録を、また打ち立てるのかどうか。目が離せません。