Article2023.11.15
今年の全米オープン王者!天国の母に新たな勝利を見せる
〜2023年大会の出場選手紹介:ウィンダム・クラーク〜
<Photo by GettyImages>

今年の全米オープンチャンピオンが、ダンロップフェニックスに初お目見えします。ウィンダム・クラーク選手(米)。2023年に大きな飛躍を見せた29歳です。

5月のウエルズ・ファーゴ選手権で初優勝を飾ると、5週後の全米オープンでメジャー初優勝。3度目の出場となったザ・ロサンゼルスCC(カリフォルニア州)が舞台の大会で、初めて予選を通過すると、ローリー・マキロイ選手(北アイルランド)やリッキー・ファウラー選手(米)らの実力者を向こうに回して、堂々としたプレーで勝利を手にしました。

1993年、フロリダ州で生まれたクラーク選手の父は、元テニスプレーヤー。そのDNAを継いだクラーク選手も、クラブを握るとゴルフに才能を発揮し始めます。オレゴン大学時代の2017年にはゴルフウィーク誌の”プレーヤー・オブ・ザ・イヤー“に選ばれるなど、アマチュア時代の実績も十分です。

同年、プロに転向し、まずは下部のウェブ・ドット・コム(現コーン・フェリー)ツアーでプレー。翌2018~2019シーズンには、PGAツアーに昇格します。しかし、初優勝までの道は厳しいものでした。

飛距離もあり、まずまずの順位に入ってシード権はキープできるのですが、厳しいフィールドではなかなか勝利には手が届きません。それでも、粘り強く戦い続け、その経験を一気にビッグタイトルに結びつけたのが2023年だったのです。

プレーオフシリーズにも出場し、最終戦のツアー選手権でも3位に入っています。フェデックスランキング3位、世界ランキング10位という現在の位置は、1年前からは考えられないほどのステップアップです。

全米オープン優勝が決まったシーンは、観ているものの心を打つ感動的なものでした。クラーク選手にゴルフを手ほどきし、常に支えてくれた母、リサさんへの思いがあふれていたからです。空に向かって誰はばかることなく大泣きし、その喜びを伝えていました。

リサさんは、10年前、クラーク選手が大学1年生の時に乳がんでこの世を去ったのですが、最後まで、愛する息子を応援し続けました。小さい頃には、息子の持ち物の中に応援のメモを入れてくれたという話もあります。大きくなってからは、メールやチャットで…。闘病中も、それが変わることはなかったそうです。

残念ながら息子がプロとして活躍する姿を見ずに亡くなったリサさん…。今では天国から見守ってくれるに違いない母と息子のストーリーは、短編アニメーション動画となり、PGAツアーが公開しています。

母への思いを、クラーク選手は乳がん撲滅のための財団設立という形で表しています。メジャー王者となったことで、その気持ちは世界の人の知ることとなり、乳がん撲滅への手助けとなることでしょう。

大会初出場を楽しみにしているというクラーク選手。「すでに歴史あるこの大会に自分の足跡を残せることを楽しみにしています」ととても前向きに大会に臨みます。ここでのプレーも、母に誇れるものになることを誓って。

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