1995

アーニー・エルス、パターが折れちゃったのでサンドウェッジを使いました
1995年大会1日目

15番ホールのグリーン上、1993年大会チャンピオンで前年には全米オープンのタイトルを獲得したアーニー・エルスが手にしているのは、なんとサンドウェッジだった。この日は前半で5つスコアを伸ばし絶好調なゴルフを展開していた。ところが14番ホールで1.5mのパーパットを外し初めてのボギーを叩いたことで歯車が狂ってしまった。思わずカッとしてしまいグリーンサイドに置いてあったキャディバック目がけてパターを放り投げてしまう。それが運悪くキャディバッグの底の部分に命中、ポロリとヘッドがもげてしまったのだ。「今までゴルフをやってきてクラブを壊したことなんかなかったよ。パターが折れるなんてもちろん初めてさ」ルールではJGA発行のゴルフ規則第3章第4条1項gに“通常のプレーの過程以外で損傷したために不適合となったクラブは以後そのラウンド中は使用してはならない”とある。エルスの場合これに該当し、グリーン上で使うクラブに関しては規定がないため先のサンドウェッジとなったのである。ホールアウト後、青木功が「2番アイアンを使ったの?」と聞いたように通常はロフトのないクラブを使って転がしていくのが常套手段。しかしエルスは最もロフトのあるサンドウェッジを選んだ。これについてエルスは「サンドウェッジの刃で転がす練習をしているのでボールの転がりを計算できるんだ」と説明した。そして15番ホールでは見事に1パットでパーセーブに成功する。続く16番、17番は2パットでボギーとするが、最終18番では見事2オン2パットでバーディ奪取に成功。短気は損気というが、さすがはメジャーチャンピオンという技を見せてくれた。